View of The World - ベンチャーキャピタリストの世界の見方

グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー / Chief Strategy Offier 高宮慎一のブログ (*個人的見解であり、所属する組織、投資先の見解とは異なります)

ベンチャー

資本市場がクラッシュした時、ベンチャーは?!

『Why Capital Markets Matter』
Twitter、Tumblr、Foursquare、Zynga、Kickstarterなどに投資しているベンチャーキャピタリスト Union Square VenturesのFred Wilsonによる資本市場がクラッシュした時の、ベンチャーへの影響についてのポスト。


『自社の事業がキャッシュフローを生み出していて、成長のための必要資金を賄えるのでであれば、資本市場クラッシュの影響は少ない。
でも、今後も資金が必要で、キャッシュフローで賄えないなのであれば、影響はある。

シンプルだが、その通り。

本当に資本市場がクラッシュするのであれば(エコノミストでもないのでマクロ市場を占える訳でも何でもないのだが、”もし”本当にそうなら)、ベンチャーとしてできることは;
1) 身の丈にあった成長投資とキャッシュフローの改善
なるべく安定的なリピート売上を確保し、投資や固定費を身の丈にあった範囲に押さえるー当たり前ですが一番手堅い打ち手です。

2) 籠城用の兵糧をためる
未上場投資家の投資意欲が衰える前に、調達をしておく。経験豊富なVCほど悪い時も継続的に投資しますが、初めての不況に直面する新しいファンド、金融系・事業会社系VC、事業会社などは、マクロの状況の影響に左右されることもあり、過去には(99年.comバブル崩壊、05年プチネットバブル崩壊、08年リーマンショック後)など、投資を絞るケースがありました。ベンチャー業界全体への総資金供給としては、絞られる可能性があると認識しておいた方が安全でしょう。

3) マクロが悪い状況での次ラウンドに備えた条件で調達する
前述の調達の際に、足元の好況の波にのって(ベンチャーにとって有利な)良い条件で調達しすぎると、マクロの景況悪化によって、未上場の調達の相場観も大幅に調整された後に、相場から見ると大幅に割高になってしまうリスクをはらんでいます。事業が成長しているのに、次のラウンドで条件が悪くなるという形になると、既存投資家のとの調整がかなり難航します。次のラウンドを見据えて、”ほどほどに良い条件”で調達するのが良しでしょう。

資本市場がクラッシュすると決して言い切れませんが、
バラ色の未来を前提に夢を語り、最悪に備えて打ち手を打つ
のが経営者の仕事だと思いますので。

投資先のナナピがKDDIグループ入り -娘がお嫁に行くおとうさんのキモチ

昨日多くのメディアで取り上げて頂いていますが、投資先のnanapiKDDIグループに入りした。


日経:『KDDI、スマホで連合 ネット11社が情報共有』

ナナピプレスリリース

KDDIプレスリリース


けんすうさん、和田さん、宮崎さんをはじめとするナナピのメンバーには、当初から掲げていた「世の中からできないことをなくす」、何億人、何十億人に使われるサービスを作りたいという大きなビジョンの実現にむけて、KDDIのより大きな後押しを受けて、更なる飛躍を期待しているし、心から願っている。本当によかった、おめでとうございます!

 

今回のような話は、日本のスタートアップエコシステムにとっても、非常に良いことだと思う。うまくいくことで、大企業とスタートアップの連携がもっと増えていくだろうし、大企業のお金が、スタートアップやベンチャーキャピタルに流れ、そのお金が次の世代のスタートアップに還流するという良い循環に入る。

 

そして、facebookに約1.9兆円(USD 19B)で買収されたWhatsappのファウンダーJan Koumfacebook取締役として活躍しているように、けんすうさんをはじめナナピのメンバーのもKDDI内で活躍し、ぜひキーマンがスタートアップと大企業で循環する流れができるといいなと思う。

 

日本のスタートアップ業界が、シリコンバレーのエコシステムのように一段ステージがあがるためにも、今回のケースが成功事例となることを心から応援している。

 

すごく喜ばしい出来事なのだが、わずかながら、一抹の寂しさ感があるのは、大事な娘が若くしてお嫁にいってしまった感じだ(笑)ナナピが、まだバイト入れても6人くらいで、ユーザも160万人くらいの時に、エンジェルの小澤さんの次のラウンド投資したのが4年前。気が付けば、4年は長いようで早く、ユーザも2000万人を突破し、KDDIグループ入りして、あっと言う間にお嫁に行ってしまった。良い旦那さんを見つけて、向こうのご両親も良い方なので、幸せな結婚でよかった。でも、家から出ていってしまうのは、ちょっと寂しい。娘が嫁に行くお父さんの心境ってこんな感じでしょうか??

 

けんすうさん、ナナピの皆さん、結婚おめでとう!KDDI家の皆さん、よろしくおねがいします!

ディー・エヌ・エーのイエモ、メリー買収に思う大企業のスタートアップ連携戦略

なんやかんやで、一年近くブログを書いていない所で、、、話題のネタに絡めて1つ書いてみた。

 

先週10/1付でDeNAによるiemoMERY(ペロリ)の買収が発表された。2社合わせて50億円という買収価格の発表に、急成長サービスとして話題の2つだったが、それは高いのか、安いのか、DeNAは内製でできないのか?など色々な声があがったので、大企業目線では、スタートアップの買収、連携にどのような見方をするのか書いてみた。

 

逆に、スタートアップ界隈が2006年以来の賑わいを見せる中、大企業側もスタートアップとの事業提携、出資、買収、VCへの出資にここ数年来で最も関心が高くなっている。大企業からも、どのように考えたら良いのか、具体的にどう進めたら良いのかと相談を受けることも多いので、その参考になればと。

 
 

 

オープン・イノベーションとは?
 

まず、大企業はなぜで外部のスタートアップと連携するニーズがあるのか?大企業では、既存事業が成熟化してきて成長が鈍化してくると、次なる成長のタネとして新規事業に取り組むことが求められる。(株主から、短期視点で常に成長を求められてしまうのが、現行の資本市場の辛い所なのだが、、、。)

 

普通に考えると既存事業で大きなシェアを持っていて、ヒト、モノ、カネ、ノウハウのあらゆるリソースをふんだんに抱える大企業が、その資産を活用して新規事業を自前ではじめれば、どスタートアップに勝ち目はないのではと思いがちだ。しかし、そうはいかないのが経営の面白い所。そして、だからこそスタートにもチャンスがあるのだ!

                                                                         

既存事業で大きな成功を収め、利益もあがっていると、なかなかその事業を否定したり、その事業の売上を食い合ったりしてしまう事業をやりにくい。慣性(というか惰性??)が働くのだ。「同じ5億円投資するんだったら、チャリンチャリンなっている既存事業に投資した方が確実に明日収益があがる。新規事業なんて当たるかどうかわからないじゃないか、当たっても何年かかるんだ?!」となってしまうわけだ。また、組織運営上の制度や仕組みが、既存事業での利益を最大化するような構造になっているため、その“部分最適”の枠の中にいる限りは、新規事業に手を出しにくくなってしまう。特に、人事評価の部分で、リスクを取って新規事業にチャレンジすると評価されるどころか、現業をちゃんと回していないということでマイナスになりがちで、成功しても余り評価されず、ましては失敗してしまうと目も当てられない。また、大組織になると、起業家のように自律的に動ける人材よりも、決められた役割をきっちりこなすような人材が多くなっている。すると、新規事業をリスクを取ってIntrepreneur=社内起業家的に取り組もうという雰囲気にはなかなかならない。

 

そこで出てきたのが、オープン・イノベーションという考え方。過去のしがらみもなく、だだその新規事業を立ち上げるために最適化している外部とうまく連携し、新規事業のネタを外からとりこんで行こうというという考え方だ。


 
 

大企業の目的
 

大企業がオープン・イノベーションでスタートアップと連携する目的は大きく5つ。スタートアップのステージが早い段階からの順番で言うと;

 

1. スカウティング(情報収集)

今後大きな事業機会になりそうな、または大きな脅威になりそうな兆しに対してアンテナを高くし、いち早く情報を収集する目的。なるべく低コストで、幅広く網かけを行うのが効率的ということになるよって、ひとつひとつのスタートアップに直接投資するというよりは、VCにファンド出資したり、経営企画やR&D企画のような部署にフットワーク軽く外に出て行く外部連携の担当者を置くという形になることが多い。特に、VCに出資することで、自己資金だけでなくファンドの他の投資家の資金もレバレッジして、多くのスタートアップに目をつけることができるので、スカウティング目的では非常に効率が良くなる。出資しているVCを通じて、結果的にスタートアップにお金が入ることになっても、VCへのファンドへの出資比率が数%VCのスタートアップへの出資比率が10%前後と考えると、仮想的な(スタートアップの株がそのまま大企業の持ち物になる訳ではないので)大企業の持分比率は1%以下の極小となることが殆どだ。

 

2. 唾付け

情報収集する中で、「もしかして、これは化けるかもしれない」という兆しがあるスタートアップが出てきたら、いよいよ直接投資をして囲い込みに動く。すごく大きな事業になりそうだから早めに唾をつけておくという攻めと、将来自社の既存事業をひっくり返すリスクを早めに排除しておくという守りの双方の目的がありえる。この段階でもスタートアップはまだまだアーリーの段階の場合が多く、事業会社として金融的なリスクは大きく取りたくないので、数%程度までのマイノリティであることが多い。ソーシャルゲームが立ちあがってきた際に、GREEDeNAがプラットフォームをオープン化し、外部のディベロッパーに自社のプラットフォームにゲームを出させるために、投資を行っていたのがこれにあたる。

 

3. 事業シナジー

スタートアップの事業がいよいよ立ち上がり、ユーザや売上(場合によっては利益も)がついてくるような段階になってくると、大企業、スタートアップの双方にとって連携すると事業上お互いにWin Winになるようなケースが出てくる。プロダクトが補完的な関係にあったり、ユーザ/顧客ベース/販売チャネルが共通であったり、テクノロジーやノウハウが共有できるなどだ。単純な金融的な出資というよりは、“事業提携の契りとして資本提携も伴う”というのが実体だろう。共同で事業を動かすとなるとお互いに相応のコミットをすることになるので、出資比率も10%内外となることが多い。ナナピがKDDI(100%のファンド)から出資を受け、auスマートパス向けにnanapiのコンテンツを配信したり、「モヤモヤnanapi」サービスを提供したりし、相互送客も行ったのなどがこのケースにあたる。

 

 

4. 取り込み

そして、いよいよ「これはいける!自社内でやるべきだ」、「これは早く完全に中に取り込まないとヤバい」という確信めいたものが出てきたら、大企業は買収に走ることになる。多くの場合は、売上、利益と言った財務的な数値が伴っているミドルステージ以降ということになる。また、ユーザ数として膨大な規模に達している、急速に成長しているといったケースもあり得る。論点としては、当然、自前ではできないのか、自前でやるのとどっちが安いのか、早いのか、という議論になる。今回のDeNAによるイエモやメリーの買収がこれにあたる。DeNAとしては、次のコア事業候補としてキュレーションプラットフォーム事業を中に取り込みたいがために、その足掛かりとなるユーザ、システム、人材などを買った形になる。そして、当然取り込むからには、コントロールを握る形、採点でも過半、多くの場合は100%株式を取得する形となる。

 

 

(番外編)5. 金銭的リターン

金銭的なリターンは、投資事業を行っている企業ででもない限り、大企業がスタートアップに出資する主目的にはなりにくい。ただし、前述の1-4の事業上のメリットがでないとしても、最悪損はしないというのは、大企業としては意志決定をする際の背中を押されることとなる。

 
 


スタートアップと大企業とエコシステム
 

大企業から見ると、スタートアップのステージごとに、連携の目的はこのようになる。逆に言うと、スタートアップとしては、大企業から連携を考える際は、自社がどのステージにあり、大企業の目的としてはどれ(または、どの複数の組み合わせ)に該当するのかを見極め、その目的が最大限叶うようなスキームを提案することが重要だ。そうすることで、提携を成功裡にクローズし、またその後の実際の連携もうまくいくように設計ができる。

 

スタートアップのエコシステムがうまく回り、新産業がどんどん立ち上がるための、必須条件のひとつに、スタートアップと大企業連携がうまくいくことがある。スタートアップと大企業が連携を通じて事業が相乗効果で成長する、そしてスタートアップへの出資やM&Aを通じて、大企業のお金がスタートアップに流れこむ。イエモとメリーの例にみられるように日本でもこのようなサイクルがうまく回り始めたし、今後どんどん増えるだろう。今出始めた事例が、成功例となれば、より多く、より大きな金額で、スタートアップと大企業が連携をするようになるだろう。ベンチャーキャピタリストとして、そのような連携の橋渡しをし、日本のスタートアップエコシステムの貢献できればと思う。

投資した当時の2010年のnanapiの事業計画をみて思ったこと

nanapi









Find Job! Startup『ネットで見れる企画書!3億3000万円を調達した「nanapiの事業計画書」』
nanapiの事業計画書が公開された。僕もコメントを寄せているのだけど、2010年年末に投資して、その後3年弱、その時その時はドタバタしながら月間訪問者数が160万人くらいだったのが、3000万人近くまで成長した。実際に自分も子供がいたりするが、生まれたばかりの赤ん坊が学校に通うようになった時、嬉しいような、赤ちゃんのころが懐かしいような気持ちに近いものがある。

 

でも、こうして一歩ひいて事業計画を見ると変わらない所は変わらないなぁ、と思ったりした。そして、いま改めて事業計画書見てもいいなぁとか思ったりして、きっと今ゼロから投資検討してもきっと投資してしまうんだろうなぁとか、この先のことはどうなるかわからないけど、万が一チームが思い描いているような成功に至らなかったとしても(1000億企業になるのを信じているんだけど)、「Nice Tryだったね」ってことで悔いなく爽やかに終われるんだろうなとか、しみじみ感慨深い。そして、そんな気持ちになれる起業家チームに出会えて、ベンチャー・キャピタリスト冥利につきる、幸せだなぁとも。


 

 

さてさて、感傷的にはなったが、その中で、改めて思ったことが3つある。

 

1. アーリーであっても事業機会、戦略の仮説をもつことは大事 

2010年の投資当時nanapiは(社名ですら現在のnanapiではなく、ロケットスタートだった)、nanapiというプロダクトこそできあがっていたが、取締役、バイトいれても6人くらいだったし、築何十年の都営アパートみたいなビルに入っていて、トイレも狭く汚れないように「男子も座って小をして」みたいな張り紙がしてあった(今だからカミングアウトするが、ワタクシ変な男子のプライドで張り紙の言いつけを守らず、立ったまま用を足してた、、、ゴメンナサイ)。

しかし、その段階でも明確に狙うべき事業機会の仮説は立っていた。「ソーシャル×バーティカルメディアの時代へ」という大きなトレンドを背景に、大手メディアも個人サイトも取り切れていない『マジック・ミドル』の広告、マーケ領域をとっていく。そして、戦略としても、マジック・ミドルの中でもまずはホビー関連の領域をとっていく、しばらくはnanapiワークス(クラウド・ソーシングでの記事作成)の仕組みを使って記事を量産していく。記事数が成長のドライバーとなり、やがてユーザ数やPV、そして広告売上もついてくる、という形で仮説ができていた。

 事業のステージとしては、どアーリーなので、外部環境の変化で事業機会が変わり、戦略も変わることは十分にありえる(と、いうか、覚悟としてはかなりの確率で変わると思っていた方がよい)。でも、もはやエイヤの決めの問題で、どこを狙って(事情機会)、どんなアプローチをとるか(戦略)の仮説がないことには、動きだせない。事業にとって一番重要な戦略レベルでのPDCAのサイクルを回すためには、不確実性が高い状況でも、正解の確率が低くとも、仮説を立てる必要があるこの不確実な状況を判断して、どうするかの意思決定をすることこそが、経営者の仕事だと思う。そういう意味では、不確実性の中で、Best Effortで荒っぽく意思決定をできる人が、スタートアップの経営者向きだと思う。逆に、100%情報収集をして、きっちりと100%の正解を導き出すことの方が得意な人には、スタートアップの経営者は少し居心地が悪いかもしれない。

 
 

2. スタートアップは仮説・検証を繰り返しながらのスパイラル状に成長していくもの

不確実な状況の中で、Best Effortな意思決定が大事みたいな話は前述の通りだが、当然環境変化は激しいし、Best Effortな意思決定が外している可能性がある。 “仮説”だから、外していて良いのだ。むしろ大事なのは、戦略レベルでの仮説・検証を繰り返しながら、PDCAを回し、常に修正できることだ。

 nanapiでも、当初の戦略に沿い、記事数が事業のドライバーとの仮説のもと、記事を量産していった。当初の戦略では、同時に広告の最適化をかけていき、売上も伸ばしていく計画だった。でも、ユーザ数がクリティカルマスを超える前に、広告の最適化をしても本当に雀の涙のお小遣い稼ぎに終わってしまうとして、途中で戦略を見直し、広告を張ることすらやめてしまった。そして、全リソースを記事作成にぶちこんだ。安定収益のないスタートアップにとって雀の涙でも、お小遣いでも、売上を全て放棄してしまうのは、それはコワイ決断だった。でも、短期的な小さな売上を捨てて、長期的な大きなスケールを取りにいった。そして、ユーザ数が1000万を超えたあたりで、「もう一回広告張ってみる??」と軽いノリで実験してみたら、当初の仮説通りそれなりの売上になった。ぐるっと回って、当初の戦略仮説に戻った感じだ。

 また、ユーザ数の成長にしても、当初の戦略通り記事を量産はじめるが、複数領域で個別にバーティカルメディアを立ち上げるほどの記事数の量産が追いつかなかった。早々にnanapi全体を、総合メディア的な構造で記事を充実させていく方向に戦略変更した。記事数に比例してじわじわしか伸びない苦しい時期が続いた。ある記事数に達した時に、今一度バーティカルメディア的な構造にすべく、実験的にカテゴリー分けを細分化してみた。その瞬間、それまでの成長軌道を脱して、急角度での成長カーブに入った。こっちでも、当初の戦略仮説からは、あっさり変更をして、再び当初の仮説に戻った形だ。

 全力でひねり出した仮説を、検証しきらないまま途中で放棄してはいけないし、えてして自分が土地勘がある領域で本当に考え抜いた上で出てきた仮説であれば、そう大きく外していない。スタートアップの成長は決して一本道ではない。仮説・検証を繰り返す中で、同じような所をいったりきたりしながら、でも着実にゴールに向かって成長していく。スパイラル状にぐるぐる回りながら、徐々に円を小さくしていきながら上昇していくイメージだ。短期的にうまくいかなくても、あっさりあきらめずに、時期をはかりながら確実に仮説を検証しきっていけば、進むべき方向はみえていくだろう。

 


 

3. おいしくなさそうな、誰もやらない所に大金脈が埋まっているかもしれない(ないかもしれない)

 nanapiは「できないことをなくす」というビジョンのもと、how toサイトを作っている。いわばhow toWikipediaを作るようなものだ。Wikipediaは、CGMによってコンテンツ作成コストがゼロで、善意の寄付によって壮大な事業の継続性を支えている。

一方でナナピは、クラウド・ソーシングで安価におさえているとはいえ、記事作成にコストがかかる。そして、売上も自らつくらなくてはいけない。「本当にhow toWikipediaをやってお金になるの?」、「余りにも事業としてクリティカルマスに達するまでに時間とお金がかかり過ぎて効率が悪いんじゃないか?」と批判的に見ようとすればいくらでも可能だ。

でも、ユーザ、ひいては大げさにいうと人類にとって価値のあることであれば、あとはお金への変換のしかたのHowを自分達の創意工夫と気合いでどうにかすればよいだけだ。そして、一見効率が悪そうでみんながやりたがらないことをやっているからこそ、うまくできてしまった時はそのうまみを総取りできる。想像もしていなかったようなホームランは、途方もないこと、効率が悪いことの中にこそ埋もれているのではないかと思う。(要領の良く取り組むことで二塁打までは出るとは思うが。)もちろんnanapiが本当にホームランの可能性があるのか、またはホームランになれるかは、これからで、神のみぞ知るだ。でも、Think Bigで世の中を変えていくようなコトを成すには、常識からは反したことをしなければならないのではと改めて思う。

 

 
 

これからもnanapiをはじめ、スタートアップが成長し、世の中を変えていくことを支援し、傍らで一緒に歩んでいきたいと思う。世の中を大きく変えるような、スタートアップの一部になれたら、きっとベンチャーキャピタリストとして、ラオウのように「我が人生一点の悔いもなしっ!」と死ねて、本望なんじゃないかと思う。

シード期のスタートアップのファイナンスで覚えておくこと3つ

昨日、今日とMOVIDAOnlabと連日代表的なアクセレレーターのDemo Dayが開催されたから、、、

、、、では全くないが(ホントに筆がおそくだいぶ時間がかかってしまったorz)、前のポストの最後のコメント通り、シード期におけるスタートアップのファイナンスで気をつけるべきことでポストを書いてみた。そして、流行りの「~3つ」という形式で 笑

 

*ちなみに、直接のオシゴトとしては、シード期の次の最初のVCラウンド辺りからが守備範囲なので、シード期におけるファイナンスについては直接利害関係はない。

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

株式(または株式に転換されるCB=Convertible Bond)による資金調達は、一定の資金を得る代わりに会社の持分を投資家が持つことになる。いわば我が身の一部を削って売り渡すことに等しい。ことさらシード期はバリュエーション(時価総額)が低いので、その意味合いが強くなる。

 

ちなみに、ここでシードとはざっくり、創業メンバーが数人、場合によってはコアメンバーも揃っておらず、事業機会(Problem)とプロダクト/サービス(Solution)のアイディアはあるが、実際にモノを作ってユーザにぶつけてみるのはこれから、またはモノを出してみたものの大幅にユーザに支持を得るに至っていない、逆にそれをするために一般的には数百万~数千万円の下の方の資金を、一数千万~数億円の下の方のバリュエーションで調達するというのをイメージしている。シード期で、アーリーであればあるほど、起業家の思う将来ポテンシャルの価値と、現在の価値の乖離が大きいタイミングはない。起業家は「将来絶対に1000億円に企業になる」と信じているので、数百万円で10%程度の比率をもっていかれることは、純粋な資金調達の観点だけからすると、まじめに考えれば考える程高いと感じるものだ。だからこそ、起業家は、事前に資金調達で、何を得たいかを、ものすごく明確に考えておく必要がある。


 

 

1 資金調達で調達するものは、おカネでなくValue Add

外部からの資金調達で得られるものは、ざっくり次の3つ。

① おカネ

② 投資家からのアドバイス、支援

③ 投資家が抱えるネットワークへのアクセス


 

『① おカネ』だけで考えると「おカネに色は無い」、誰から調達しても500万円は500万円だということになる。一方で、業界で言うところのValue Add=『② 投資家からのアドバイス、支援』、『③ 投資家を通じたネットワークへのアクセス』の観点で考えると、誰から調達するかで、差は大アリだ。イケてる投資家から資金調達をすると、おカネだけでなく次のようなオマケがもれなくついて
くる。実はそのオマケの方こそが価値がある。


 

『② 投資家からのアドバイス、支援』:投資家によって得意不得意、芸風があるので人それぞれだし、ステージによっても濃淡はあるのだ、一般的には、足元どう立ち上げるかの短期的な戦略、上場またはその先までの成長も踏まえた中長期的な戦略、事業成長に伴う組織の拡大、その時に必ず直面する仕組化や組織作りの問題、採用などについてアドバイス、場合によってはかなり現場まで踏み込んで助けてくれる。また、同じような領域で、自分で事業経験があったり、複数社投資している投資家であったりすると、プロダクトやサービスそのものに関しても造詣が深く有効なアドバイスをくれることも多い。シードからするとだいぶ先の話にはなるが、上場経験者だったりすると、上場準備や資本市場とのコミュニケーションのあり方についてもアドバイスをくれたりもする。ことシード期ということであれば、過去の経験からくるプロダクトそのものへのアドバイスであったり、ついつい常勤メンバーであると足元のプロダクトの開発や短期的に売上を作る所に目が行きがちな所を、目線を広く、時間軸を長くするようなアドバイスをするのが投資家の価値となる。次の数億規模のVCラウンドをどうするか、上場に向けどのような成長シナリオを考えるか、果ては上場後も継続して成長するためにはどうすべきかなどだ。

 
 

『③ 投資家が抱えるネットワーク』:スタートアップの世界は、シリコンバレーでも日本でも、頭で理解している以上に人脈で物事が動くというのが体感値としては大きい。その点、イケてる投資家が業界内でもつネットワークは、一朝一夕で築くことができないので、ぜひとも乗っかりたい。その他スタートアップや事業会社と提携をしたり、次のラウンドの資金調達の際のVCをつれてきたりと大きな力を発揮する。イケてる投資家が入っていることはある意味お墨付きのようなもので、実際に提携や資金調達が成功するかはスタートアップの実力次第だが、ドアオープナーとしては絶大な効果を発揮する。イケている投資家の紹介であればキーマンが少なくとも一度は話を聞いてくれるだろう。特に、シード期においては、数億単位の次のVCラウンドを組成する所で、投資家のネットワークは大きく効く。本当にイケてる投資家であれば、VCの会社としての微妙な得意領域、そして組織の中での意思決定の進め方などを把握して、どのようにアプローチしたら良いかアドバイスをくれる。そして、実はここがかなり重要などだが、個別ベンチャーキャピタリストの得意領域、性格も踏まえて誰に話をもっていくのが良いかアドバイスをしてくれるだろう。

 

シード期の安い株価で相応に大きなシェアをもっていくからこそ、そしてシード期の混沌とした状況から同じ船にのるパートナーとして、飛躍する基盤を一緒に作ってくれることを期待するからこそ、誰に投資して貰うかは超重要。逆説的ではあるが、違う言い方をすると会社を大きく成長してくれることにコミットして(それなりに時間、マインドシェアを使って)くれて、本当に貢献してくれる投資家であれば、フルタイムのメンバーに株やストックオプションを分けるようなイメージで、こちらから請う形ででもシード期の安い株価でも投資して貰いたい。

 


 

2 “イケてる投資家”を見極める

そこで、スタートアップとして気になるのは、「じゃぁ“イケてる投資家”ってどうやって見極めたらいいんだ?!」という話だろう。恐らくどの投資家も投資前は「ハンズオンでがっつり支援します!」と営業モードで言うだろう。投資後、具体的に何をやってくれるのか、そして本当に成長に貢献してくれるのかを見極める必要がある。

 

まずは、本人にストレートに聞いてみる。「大きく成長する上で、今のウチの事業の課題は何だと思いますか?」、「その課題を解決するためにはどうすべきだと思いますか?」、「投資して頂いた後にはどのような形で支援いただけるのでしょうか?」。実際に事業をやっている経営者が聞いて、納得がいく、学びがある答えが返ってきたら良いサインだ。

 

そして、一番良いのは、その投資家と実際に一緒に仕事をしている既存投資先や一緒に投資している投資家に聞いてみること。自分の知り合いを辿って聞けるのが一番良いが、その投資家に紹介してもらうのでも良いだろう。大概、狭い業界内で適当なことを言うと自分のレピュテーションにも関わるので、本音の意見をくれるはず。投資家への義理があってなかなかぶっちゃけられない場合でも言外のニュアンスは感じ取れるだろう。


 

 

3 増資だけがファイナンスの手段だけでない

じゃぁ、残念ながらイケてる投資家とコンタクトがない、イケてる投資家から断られてしまた、、、という場合はどうしたらよいか?

 

まずは、ある投資家にある時点で投資して貰えなくても世の中の終わりと思う必要は全然ない。投資家はストライクゾーンに来た球を全て振らなくって良く、“ど真ん中!”、“今が絶好のタイミング!”と確信が持てて始めて投資する生き物なのだ。多くの投資家は(個人のエンジェルは別だが)その背後にいる投資家のおカネを預かる運用受託者としての責任があるので、ストライクゾーンギリギリでボールかどうか臭い球は見送ったりするものだ。ましてやピッチャーがモーションに入ったばかりで球を投げてもいないシード期ならなおさらだ。そして、あるタイミングでは投資しなかった場合でも、次の機会で投資をすることは良くあることなので、イケてると思った投資家には将来のラウンドも視野にいれ、継続的にコンタクトし、事業の進捗などをアップデートしておくとよいだろう。


 

ファイナンスについておカネだけでの視点で考えると、次の4つがある。

(0) 借入

(1) 起業家の自己資金で回す

(2) 会社のキャッシュフローで回す

(3) 株式(または株式に転換されるCBなど)での調達


 

(0) 借入: シード期で売上も立っていないようなスタートアップだと、まず銀行などの金融機関は貸してくれない。そうなると、親族、知人などから、(場合によっては起業家が個人で)借入をすることになってしまう。基本的にはスタートアップへの投資はハイリスク・ハイリターンなので、ほぼ返ってこないくらいの心構えが必要になってくる。本当に余力がある人、またはよっぽどスタートアップや投資に精通したプロ筋ならいざしらず、ふつ~~うの人から借入をすると、いざ返せない時に大揉めに揉めるリスクがある。起業家個人としてファイナンス、社会的リスクを背負うことになる。起業家個人としてリスクを背負うと、経営者として事業上の適正なリスクを取りにくい構造になりがちなので、知人からの借入は、個人的にはよっぽど経済的に余裕がある人かスタートアップや投資に精通したプロに、リスクとリターンをきっちり説明した上でない限り余りお勧めではない。


 

(1) 起業家の自己資金で回す: 起業家が個人の貯金を切り崩してガンガン、スタートアップに突っ込む‐これは借入と同じ個人リスクと事業リスクを分離するという観点で、こちらの場合は全くお勧めしない。ただし、まだまだアイディアだけのタイミングで、前職で安定収入を確保しながら、夜、週末のお仕事として、自分+本当にコアな仲間の最小限のコストでプロダクトを作るためにということであれば、現実解としては悪くないだろう。本当は、100%絶対いけると信じているアイディアに全力投球し、スピードを最大化するために、外部から調達をし、メンバーの生活も保証するというのが理想だ。ただ、現実としては、アイディアだけの段階やイニシャルのプロダクトを出してみたもののユーザの反応がイマイチでまだまだ改良をしなければならない場合、外部の投資家から資金を調達するのが厳しいことも大いにありえる。その場合、投資家に対して、事業上意味のあるマイルストーン(KPIや営業のパイプラインなど)を達成して、計画を達成する実績を見せて調達をする作戦が有効だ。そのマイルストーンを達成するまでは、物理的・時間的にはシンドイとは思うが、個人のリスクもヘッジするという意味でも、スタートアップを夜、週末のお仕事とするのは結構おススメだ。


 

(2) 会社のキャッシュフローで回す: 自己資金で回すと同じ議論で、本命事業に外部から資金を調達するにはちょっとタイミングが早い時には “ナシじゃない”オプションだろう。ただ、受託などのラーメン代稼ぎ(目先で食っていくための短期的かつスケールしない収益稼ぎ。余談だが面白いのは英語にもなっていて“Ramen profitable”と言う 笑)に走ると、ついつい受託ループから抜け出せなくなってしまったり、クライアントにちゃんと納品するために当初想定より多くのリソースを食ってしまったり、本命事業に回すリソースが足りなくなってしまったなんていう話は、スタートアップが陥る典型的な落とし穴だ。それに気をつける前提で、既に起業していてピボットするケースや勢い余って既に前職を辞めてしまった、またはラーメン代稼ぎの事業がある程度放置していてもチャリンチャリン鳴るのであれば良い手だろう。ただ、本命事業に全然集中できない状況になると、本当に本末転倒なので、そこだけはくれぐれも気をつける必要がある。受託ループにはまり中小零細企業に終わってしまうスタートアップは本当に多い。


 

(3) 株式(または株式に転換されるCBなど)での調達: 早く本命事業に集中するために、外部投資家から資金を調達するのは理想的だ。ただ、借入の議論と同様、というか、株式になるとよりリスクは高まるので、ノンプロの知人から株式での調達は基本的にはお勧めしない。プロとしてリスクも十分に承知で、資金以外の面でのValue Addも大きいイケてる投資家から調達すべきだ。投資を受ける側の視点でも、前述の通りシード期においては、投資金額の割には(数百万-数千万円)それなりのシェア(10%内外)をもっていかれることになるので、誰からでも良いので株式で投資を受けられれば良いというのではなく、最強のパートナーと思える投資家を迎えいれられるまでは、何とか自力でもっていくのが良いのはないかと思うそこに至るために、投資家に認められるマイルストーンを達成するために、自己資金や事業のキャッシュフローでつないでいく。

 

まとめると、シード期においては、イケてる投資家から株で出資して貰うことに合わせ込みにいくために、自己資金や事業のキャッシュフローを原資に、プロダクトをリリースしで一定の成果を出す。そして、最強の外部アドバイザーとしての投資家とともに、事業のスケール、スピードを上げることに、ただひたすらそのために突っ走ることができる体制を作ることが、目下の目標だろう。

 

 
 

~~~~~~~~~~~~~~



 

エコーズAct3のスタンド攻撃をくらったように筆が重いのだが、、、いつか、次はシード3部作の完結編として、シードににおける“イケてる投資家”にどんな種類のプレーヤーがいるか書いてみよかと。

livedoor プロフィール
メッセージ

名前
メール
本文